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プロフィール

ぱぱおぶにい

Author:ぱぱおぶにい
こんにちわ。落ちこぼれイクメンの「にいパパ」です。

最近、家庭内の地位の向上を目指し、娘の寝付かせの際に、いろんなお話をしています。そんなお話の忘備録をつけようとはじめました(笑)。もしご興味があれば、最初から読んでいただくと話がつながるように作るつもりです。毎週水曜日の更新めざします!!。

全国のパパさん、一緒に地位向上にむけてがんばりましょう―。

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プライス オブ うなぎのかば焼き

2015.08.19 17:32|はじまりの冒険
「80メートルからおっこちたら、死んじゃうよ!。」
そういう娘ににんまりしながら、僕は続きをつづけた。

腰に電撃を受けて体がマヒした新之助は、自分の体が塔の一番屋根から転がって地面に向かって落ちていくのを感じていました。

「だから、死んじゃうって!」
「そうだよねえ、死んじゃうねえ(笑)。」

そのときです!。落ちていく新之助の隣を大きな鳥のようなものが凄いスピードで通り過ぎ、とてもよく伸びるゴム紐が彼の腰にぐるぐる巻きつきました。
(う、、、、、な、、、なんだ???)
新之助の意識はそのまま薄れていきました。

「お?もしかして??」
「そそ、もしかして(笑)。」
娘の目が輝くのを見てにんまりしながら僕は続けた。

「くっそ、早起きしたからには、三文どっかにおちてないかなー。」
バチが当たりそうな不平を言いつつ東寺を掃除している小坊主がおりました。名前を周建といい、かなりとんちが回る、否、ずる賢いと言ったほうがピッタリくる、
自分が楽をすることに全知力を注ぐ小坊主でした。
「いやあー、ほんとめんどくさい、めんどくさい。こんなの小間使い雇ってやらせばいいのに。」
と、不平不満をぶちまけながら箒でイヤイヤ掃きまわっていた彼ですが、だんだんと九重塔に近づいていきました。塔の下は、この寺で最も偉い上人が、なぜか夜な夜な完璧に掃除をしていた場所でした。なので、ほとんど掃除をする必要はないのですが、周建はあえてここに来て、いつも朝の掃除をさぼっていたのでした。

「掃除さぼるって、、、なんか、パパのお話の中のだめな人って、パパそっくりなんだけど(笑)。」
「そ、そうねえ^^;;;。気を付けるよ(なにを??)。」

「ん?なんか、やたらとうるさいな。」
周建はカラスがギャアギャアと騒いでいるのに気が付きました。九重の塔の真ん中の階に彼らの巣があって、どうやらそこから聞こえてくるようです。
「はて、、、なにを騒いでいるのだろ??。」
周建は額に手を当てて、カラスの巣のあたりを見ようと目を凝らしました。何やら人っぽいものがぶらさがって風で揺れています。
「やや!!??人か!!??。こりゃ大変だ!!!!まったく、
掃除どころではないな!!(ニヤリ)。」

「結局掃除さぼれたんだねえ(笑)。」
「まあねえ、しかたないねえ。」


「はっ!!????ここはどこだ???。」
新之助は布団の中で目が覚めました。『がばっ』と新之助は飛び起きると、まわりを見回しました。どうやら病院のようです。
「あれ?ここは。。。。」
見慣れた光景に新之助は気が付きました。そこはエドシティ同心本部にある医務室でした。飛び起きた新之助に気が付いて、看護婦さんが「先生!先生!気が付かれました」と医者を呼んでいます。
「おお、ようやくお目覚めですかな。」
看護婦さんに呼ばれてニコニコした顔で部屋に入ってきたのは、この医務室担当の良安先生です。新之助は、よく無茶をして怪我をするので、この先生の世話になりっぱなしなのでした。
「良安先生。」
見慣れた先生の顔を見て新之助は少し落ち着きました。先生は、新之助の顔が「なぜここに?」という疑問符で埋め尽くされているのを感じると、
「新之助さんは九重の塔にゴムでぶらさがってるのを発見されたんですよ。」
と、ニコニコしながら説明してくれました。そして、新之助の腰にぐるぐる巻かれていたゴムが、『あるもの』でしっかり塔に打ち付けてあったことも教えてくれました。
「あるものっスか??。」
「これです。」
といって先生が取り出したのは、すこし不思議な形をした手裏剣でした。
「こ、これは。。。。」
「ええ、風魔タイプの手裏剣ですね。」
「え!!??風魔!!??、、、彼らは百年も前に滅ぼされたんじゃ?。」
「そのはずですねえ、私も歴史の授業でそう習った覚えがあります。」

風魔はもともと、ホウジョウ国の殿様に仕えていた忍者軍団でした。しかし、先の戦乱でホウジョウ国が滅びたのち、野盗集団になりさがり、戦乱の覇者となったトクセン国の首都エドシティで強盗、火つけ、人殺しなどあらゆる悪行の限りを尽くしました。残忍で出会ったものすべて殺してしまうそのやり方に、エドシティの人々は震え上がりました。しかし、あるとき仲間の裏切りで、頭領の五代目風魔小太郎を始めほとんどが捕まって、死刑になったのでした。

「あの風魔とネズミン小僧のヤリクチは違うとおもうっスけど、、、ただ、、、」
「ただ?。」
「ネズミン小僧にくらった技は、大陸の人間が使うワザに似てたッス。」
新之助は、小僧にくらった強烈な一撃を思い出して言いました。
「風魔は大陸からやってきたという噂もありますからねえ。状況証拠から言ってネズミン小僧は風魔の残党かもしれませんねえ。」
「だからネズミン小僧が人殺しやっちゃったのか!」
「ん?どうだろうねえ(笑)」
伏線回収そろそろ考えなきゃなと思いつつ、話をつづけた。


「そういえば、」と言って、先生は手裏剣の真ん中の部分を指さしました。
「ここに反重力デバイスと思念波受信ユニットがついていて、熟練の術者は複数個を使ったオールレンジ攻撃ができるそうです。その上、数キロ先への狙撃も可能という。。。。」
「まじっスか??。そんなとんでもない武器なんですか、これ!!??。」
「ええ、彼ら自身この武器が敵の手に渡ることに恐れを抱き、彼らしか使えないよう生体認証をつけたほどです。」
確かによく見るとセンサー状のものが付いていてメカニカルな外観をしています。
「新之助さんに巻きついていたゴムの両端を、この手裏剣で塔に打ち付けてあったのは先ほど伝えたとおりですが、驚くべきことに3枚ずつ打ち込まれてあったそうですよ。しかも、規則正しく並んでいたそうです。おそらくネズミン小僧は達人の域なんでしょうねえ。」
「あいつ。。。。」
新之助は、あのすらりとしたネズミン小僧を思い浮かべていました。
「あと、装備開発部の連中が、新之助さんの十手を見て、『象とでも戦ったのか!!???』と驚いてましたよ(笑)。」
電撃十手の耐久性をアップしろと、ショーグンじきじきに命令された装備開発部は、連日徹夜が続いていました。ちょくちょく医務室に来て点滴を打ってもらっているそうです。
「ささ、もうすこし眠りについたほうがよいですよ。」
そう言って、先生は新之助に休むよう促しました。たしかにまだ頭がふらふらしています。布団に入ると、すーっと意識が飛んでいきました。

「オカマ、超怪力だったんだ。」
「そそ、ふっとばされたからねえ。」
「やっぱりオカマさんって強いんだねえ。マツコとか。」
ん?なんか、間違った認識を与えてしまったみたい。

「ぷふぁーーー。」
新之助とおふうさんは、同時にお猪口を空けました。これでお銚子なんと15本あいています。
「へぇ、結局、ネズミン小僧に助けられたのかい?。」
おふうさんは、まったく酔った感じなく聞いてきました。
「おうよ!、あいつの人死にを避ける信念にはぶっとい筋が一本通ってるんだよ!。ウィ、ヒック。だから、最近言われている殺しの犯人があいつとは思えないんだよぉ、、ヒック。」
新之助はかなりぐでんぐでんです。
「こいつで助けてくれたしなあ、ヒック。」
そう言いながら、あの出来事からずっと持っている風魔手裏剣を懐から出しました。
「へえ、こいつが例の手裏剣かい。」
興味ぶかそうにみていたおふうさんでしたが、完全に出来上がっている新之助をみて
「ところで、そろそろ締めにするかい?。」
と聞いてきました。
「うい、いつものよろしく、ヒック。」
しゃっくりしながら新之助が答えると、
「源さん!!いつものよろしく!!。」
と、おふうさんは厨房にいる板前の源さんへ声をかけました。「あいよっ!!!」と、威勢のいい返事がかえってきます。

「いつものってなあに?。」
「新之助がお酒をのんで最後に食べるもんだよ。」
「パパとママがお酒飲んだ後に食べるお茶漬けみたいなやつ?。」
「そそ(笑)」

厨房から香ばしい魚を焼く香りが漂ってきました。待つこと20分、とてもおいしそうなあるものが運ばれてきました。
「しっかし、新さん、昔から
うなぎのかば焼きで締めるけど、ほんとパワフルだねえ(笑)。」
おふうさんがニヤッとして新之助のほうを見ると、もう彼はすっかり酔いつぶれ、卓に突っ伏していました。
「あらまあ、間に合わなかったか。さすがにこんだけ飲んだらねえ。」
新之助は一人で飲んでいた分を合わせると、なんと一升のお酒を飲んでしまったようです。
厨房から板前の源さんが、汗を拭き拭き出てきました。うなぎを焼いていたのでとても暑いようです。源さんは、うなぎを食べずに寝てしまった新之助をみると、
「あらん、ワタシのかば焼き食べないで寝ちゃったのぉ??。せっかくいい香りなのにぃー」
と、ごっつい手で新之助の前に置かれた特製かば焼きをパタパタとあおぎました。とてもよい香りが新之助の鼻先でひろがりますが、酔いつぶれて反応がありません。

「ていうか、、ここにもオカマ??。パパのお話、オカマさんおおいねえ。」
「うん、オカマオカマ(笑)。」

おふうさんは、新之助が懐から出した手裏剣を指先に乗せました。すると、『ブーン!!』と音がして、刃の部分がかすかに青く光り、指先から少し浮かび上がりました。おふうさんが「ふっ」っと息を吹きかけると、手裏剣はゆっくりと回りはじめます。
「で、おかしら、どうするの?。ニセモノやっつけちゃうの?。」
源さんが汗を拭き拭き聞きました。まだ暑いようです。
「さーって、どうするかねえ。このままじゃ、ウチらも動きにくくなるからねえ。」
そうです、ネズミン小僧の正体はおふうさんだったのです。

「えええ???そうなの???。」
「そそ、そうなんだよ(笑)。」
(キャッ〇アイみたいなベタ話になっちゃったな)と思いつつ、僕は続けた。

「ところで、かば焼きどうする?。もったいないから、ワタシ、食べちゃおうか?。」
源さんがごっつい指で新之助の前のうなぎのかば焼きを指さした、その瞬間!

ゴォオオオオオオオッ!!!!!!

ものすごい風が新之助が寝ている卓のまわりを中心に吹き荒れ、目をあけてられない眩い光があたりを包みました。
「な、なにごと!!??。」
おふうさんと源さんは、突然の出来事に、さっと距離をとり身構えました。さすが忍者の集団です。一方、新之助は、ぐおーーーっと酔いつぶれてねています。
「ニセモノ集団の攻撃かしら???。おかしら、大丈夫???。」
叫ぶ源さんの手にはいつのまにか例の三節棍が握られています。
「ああ、大丈夫!。どうやら攻撃の術のたぐいじゃないみたいだよ!。」
おふうさんはそう言いながらも、いつでも跳躍できるように身構え、その指先では例の手裏剣が、キィィィーーーーンと鋭い音を立てて回転しています。風にあおられて皿が源さんに飛んできました。その皿をパリンっと棍で打ち落とした源さんが、

「攻撃じゃなかったら、なんなのよぉ!!」
と叫んだとき、パッタリと風がやみました。光も収まっています。
「お、やんだ??。」
二人がそう思ったそのとき、新之助が突っ伏している卓の、うなぎのかば焼きの皿の真下の部分にぱっかり穴があきました。ひゅーんと、かば焼きが皿ごと落ちていきます。
「なにぃ!!??。」
二人が驚いていると、穴の中から、なにかの石が貼られた手紙がふわりと出てきました。

「これって、勇者が出てきたときと似てるんじゃ。」
「おお、よくわかったね(笑)。」

二人がおそるおそる卓に近づいてみると穴はすっかり塞がっていました。中から出てきた手紙には、子供が書いたような拙い字で、ニポーン語がかかれてありました。ところどころ間違っていて、しかも平仮名と片仮名が混ざっています。

みなサんこんにちワ。ボクたちのくににわ、わるいシトがたくさんいてこまっています。それらをやっつけるゆウしゃをおこすために、うなキのかばやきがひつようです。なので、よこせください。

もうすこし読むと、つぎのようなことが書いてありました。

プライス おぶ うなぎのかばやきが、わかりません。でも、ぼくたちにはプライスレス!!。なので、ぼくのたからものをおくります。あなたのともだち、だりすおう。

「どうやらこれは、うなぎのかば焼きのお礼の手紙のようだね。」
おふうさんは最後までよんで、手紙についている石に気が付きました。
「こ、これは!!???。金剛石???」
石は金剛石(ダイヤモンド)で、大きさはなんと5カラットもありました。かば焼きどころか、お屋敷が建ってしまいます。
「あらん、ステキねえ。でも、おかしら、どうするのこれ、かばやきって新ちゃんのものだったでしょ?。」
「そうだねえ、、、源さん、もう一枚やいておくれよ。それを新さんには出そう。これはうちらの軍資金に貰っておこう。ニセモノもやっつけなきゃだし!。」
「そうね、どうせ新ちゃん、まだ寝てるし。じゃあ、ちょっくら、焼いてくるわ!!。」
源さんは、『まかせろ!』とガッツポーズをして厨房へ入って行きました。

「パパ、もしかして、この場面をしたいためにワザワザ、ネズミンの話つくったの?。」
「あら、わかっちゃった?。」
「パパもオカマさんの言葉になってるよ(笑)。」
おっと、気を付けよう。

「で、次のお話からは、勇者のお話にもどるの??。」
「そうだよー。」
「ところで言いにくいんだけど、、
ほんとは忍者のおはなし好きじゃないー。はやく戻して!。」
えええええええ^^;;;。やっぱ和風は好みじゃなかったか。。。

「つづきは、寝るまえね!!。頑張って考えて!!。」

うはあ。。。。鬼の督促きました^^;;;。

づづく。

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エドシティを騒がすネズミン小僧(3)

2015.08.05 07:00|はじまりの冒険
「ありがとうございました!。」
マニュアル的にお礼をするコンビニのお姉さんに、「どうもー。」って返しながら僕はコンビニを出たんだ。で、娘にルイボスティー500mlのペットボトルを渡す。
「そう、これこれ(笑)。」
おいしそうに飲んでる娘に、「ねえ、ちょっとパパにもちょうだい。」と、少し飲ませてもらったんだ。お、ちょっとクセがあるけど、飲みやすい。
「慣れるとおいしいんだよ、これが。」
って、少し大人じみたことを言う娘ににんまりしてたら、
「ねー!休んでないで、話の続き!」
厳しい督促(笑)。
「えっとねえ、、、、。」
僕は残りの話をし始めたんだ。

新之助は法螺法師をやっつけたあと、ネズミン小僧を探していました。あれだけ足の速いネズミン小僧なので、もうどこかに行ってしまったでしょう。が、念のため新之助は目を閉じ、例の能力であたりを探ることにしました。
「む、いるぞ!!!。」
新之助が感じ取ったネズミン小僧の位置は前方30メートル、寺の中です。
「あらよっと。」
新之助は、ひょいっと目の前の寺の壁を乗り越え境内に入りました。さすが猿のように身軽です。

「あらよっと」
娘もそう言って、道端のちょっと高くなったブロックの上にふざけて飛び乗る。
「気をつけてよー、前みてないと転んで怪我しちゃうよ。」
心配そうな僕をよそに、
「はいはい、つづきつづきー」
娘は促してきた。「まったく。」、といいながら、僕は続ける。


東寺の名物に九重の塔がありました。高さは約80メートル。ネズミン小僧はその下でしゃがんで何かの道具をカチャカチャやっています。下を向いているので、ほっそりした首筋が顕になっています。
(ネズミン野郎だ。)
新之助は気配を消して近づきながら十手の高電圧スイッチを入れました。が、ウンともスンとも動きません。法螺法師の強烈な打撃を何度も受けて壊れてしまったようです。
(仕方ねえ、電撃なしでもとっ捕まえてやる!!)
壊れた電撃十手を腰に差し直すと、新之助は一気に距離をつめました。
「セイ!!!」
必殺の気合を込め手刀を一閃。気絶させるため、ねらいは下を向いてしゃがんでいるその首筋です。

パシッ!!!
乾いた音がして、新之助の手刀が受け止められました。ネズミン小僧が後ろ向きにしゃがんだまま、左手で受け止めたのです。
新之助の手を捕えたままネズミン小僧はくるりと振り返ると、すっと新之助の懐に入り込みました。その右手が新之助のミゾオチ付近に添えられた瞬間、小僧は左足を踏み込みました。あたりに音がズシンッと響きます。
「なにしやがっ・・」
言い終わる前に、小僧の右手からとてつもない衝撃が新之助の体の内側に伝わってきました。

ズンッ!!!!!
中国拳法でいうところの震脚⇒寸勁コンボです。

「パパ、バトルマニアだねえ(笑)。」
「しかたないじゃん、ジャンプ世代なんだから。」
「マンガ好きだもんねえ。」
僕はにやりとして、続ける。

「う、、、、ぐ、、、、、。」
新之助は内臓を揺さぶられて身動きがとれなくなりました。
「・・・。」
ネズミン小僧は新之助が動けなくなっているのを確認すると、無言で先ほどいじっていた道具を頭上に掲げました。それは小型のウィンチで、塔の上のほうから垂れている綱につながっています。綱は塔の一番屋根につくられた木製のクレーンから降ろされていました。
キーンと甲高い音をあげて、ウィンチが綱を巻き取りはじめると、ふわっとネズミン小僧の体が地面から浮きました。
「に、逃がすかっ。。。。」
新之助は、ほとんど体を動かせませんでしたが、なんとかネズミン小僧の足につかまりました。その瞬間、ひゅーんと二人の体は塔のてっぺんに向かって登っていきました。

「え?てっぺんって、80メートル?」
「そそ、80メートル。」
「おっこちたら、死んじゃうねえ。」


数分後、二人の体は塔の一番屋根の上にありました。新之助は寸勁のダメージで仰向けに転がったまま動けません。そんな新之助をよそにネズミン小僧は何かの機械を組み立てていました。どうやら大きな翼をもつ、風の谷の大凧のような乗り物です。カチャカチャやっていましたが、やがて新之助のほうを見ると、
「・・・。」
無言で先ほどのウィンチを投げて寄こしました。『これで降りろ』という意味のようです。
(ち、変に気をつかいやがって・・・・。殺しはやらねえってのは、ほんとなんだな。。。)
動けない新之助は目だけでネズミン小僧を追っています。
それから数分経って大凧が組みあがりました。ネズミン小僧はそれに乗ってふわり塔から飛び立つと、塔のまわりをぐるぐる旋回しています。気流を捕まえて上昇するためです。町中にばら撒くための犯行声明を懐に抱えているのが見えました。

「ふーん、それで、ばらまいてるんだ。」
「そそ。」
「ナウシカみたいだね。あ、もしかして、女の子なの?」
「それはまだヒミツ。」
まあ、女の子にしたらベタ設定になっちゃうね。それでもいいけど(笑)。


少したつと、ネズミン小僧はもうかなり上のほうに登って小さくなっていました。
「こなくそ!!!。」
寸勁ダメージが回復してきた新之助はヘッドスプリングで立ち上がりました。せめてネズミン小僧がどっちの方向にいくか確かめようとしたそのとき、


バチン!!!

腰に数万の針を刺されたような痛みを感じ、体がのけぞりました。何がおきたか分からぬまま、新之助は自分の体が屋根から転がって、地面に向かって落ちていくのを感じていました。。。。

「ええ????何がおきたの???。ネズミンさん、罠しかけてたの??。」
「さあ、なんだろうねえ(笑)。」
素直な反応に僕はにんまりした。


づづく。

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エドシティを騒がすネズミン小僧(2)

2015.07.30 02:01|はじまりの冒険
僕と娘は、愛犬の散歩中。
中間地点の水辺公園から自宅への帰り道、「はい、つづきつづきー」という催促を受けて僕は、ネズミン小僧のお話を再び話し始めたんだ。

「ぷふぁーーー。」新之助と若女将のおふうさんは、同時にお猪口を開けました。今のでお銚子8本目が空いてます。ふたりとも、すごい勢いです。
「で、追いかけたのかい?。ネズミン小僧を。」
お猪口をもてあそびながら、おふうさんは尋ねました。あまり酔っ払った雰囲気は、ありません。
おふうさんのお猪口が、彼女の指先でくるくる回っています。それをぼーっとみている新之助は、だいぶ酔いが回ってきているようです。
「うぃーー、ひっく、、、、ああ、そうなんだよ。」
新之助のほうは、少しろれつが回っていません。
「あいつを初めて見た場所から、結構走ってさ。あいつの足ってばよ、もう速いのなんのって。必死に追いかけて、気が付いたら東町の寺のところだったんだわ。」
「ええ?武家屋敷の通りからかい?そりゃあ、すごいね。」
おふうさんは、切れ長の目をまんまるにして驚きました。
「ああ。」そう、うなづいて、新之助は話をつづけました。

音もなく家々の屋根の上をかけ続けるネズミン小僧を、新之助は、その超人的な耳を使って、なんとか見失わずに追いかけていました。二人の距離はだいたい100メートル。かなり距離があいたので、逆にネズミン小僧には気づかれてないようです。
東町の寺の裏までやってきたとき、新之助はネズミン小僧が、ふっと立ち止まり、屋根からひらりと飛び降りるのを感じました。

愛犬が街路樹のネッコの下でクンクン何かを嗅いでいるのを見ていた娘は、いきなり突っ込んだ。
「ところで、パパ。ネズミン小僧って、小判をばらまくんでしょ??。小判ってとっても重かったってテレビで言ってたけどさあ、
細い人が持てるもんなの??てかさー、どこにそんなたくさん持ってるの??。」
うおっと、なかなか鋭い。
「それはねえ、、、、」と、ちょっとヒヤっとしながら、僕は続けた。

ネズミン小僧が飛び降りた場所には、どうやら、何人かの人間がいるようです。新之助は少し離れた家の屋根の上で息をひそめ、目を閉じて例の能力で人数を数え始めました。
「ひぃーふーみぃー、、、、、おっと8人もいやがる。」
新之助は腕にある程度の覚えがありましたが、さすがに8人の賊とはやり合えません。
「しかたねえ、あいつらの様子をさぐろう。」
新之助は彼らが何を話しているか聞こうと耳をすませました。しかし、まったく声が聞こえてきません。どうやら彼らは、手話のようなものを使って会話をしているようです。
今度は新之助は目を凝らしました。すると、彼らは旅の芸人、杓杖を持った法螺法師、富山の薬売り、、、、様々な格好をしているのがわかりました。
(ちっ、こいつらどっかの忍軍か??。こりゃあ、下手に突っ込むとやべえな。)
新之助は「長丁場になるな」と覚悟しましたが、その予想は外れて数分後、ネズミン小僧を残して彼らは方々に散って行きました。みんな白い袋を背負っています。

「あ、わかった。そこに小判が入ってるんだ。ネズミン小僧は、一人じゃないんだね!。」
おおう、鋭い。僕は、うれしくなった。

「お、これで、一人になったな。とっつかまえてやる。」
一人つぶやいて、新之助はひらりと屋根から降り、ネズミン小僧にすすーっと近づいていきました。
「今度は、さっきみたいにはいかねえぜ。」
新之助は、十手の手元についた高圧エレキテルのスイッチを入れました。すると、『ブンっ!!』とその一瞬だけ、通電音が鳴りました。実はこの十手、いわゆるスタンガンで、先っぽがちょっと触れるだけで相手を一瞬で麻痺させられる、エドシティ同心の秘密兵器でした。

「だめよーんだめだめ。そんなの使っちゃあ!」
ふいに新之助の背後で声がしました。先ほど散って行ったうちの一人、法螺法師が襲い掛かってきたのです。
杓杖がものすごい速さで新之助の頭に振り下ろされます。
バチン!!!すごい音がして、高電圧がかかった十手が杓杖を弾き飛ばしました。とっさに新之助が反応し、十手で頭を護ったのでした。

「あのさ、エレキテルと『だめよん』って、かけたの?」
「ばれた?」
「だめよーん、だめだめ!!」
なんだ、気に入ってるじゃない(笑)。
新之助は体勢を整えて瞬時に相手から距離をとると、十手を構えました。法螺法師は、新之助の十手に気がつくと、懐から革の帯を取り出して両腕にぐるぐる巻きつけました。これで受けられるとせっかくの高電圧も役に立ちません。
「同心、幕府の犬ね?あら、でも、
顔はイケてるわね。」

「えーー??おかまーー???」
「そそ、おかま。」


『フフフっ』と不気味に笑って法螺法師は、杓杖をひねりました。すると、3つに分かれて三節棍となりました。法師はそれを、ものすごい速さで、振り回し始めました。

「可愛がってあげるわ!!!。」
新之助を棍が、あらゆる角度から襲ってきます。右からの攻撃を受けたと思ったら、すぐ頭に降ってきます。それら2つを新之助が跳ね返した瞬間、法師は足払いを間髪いれずに放ってきました。
「せい!!」
新之助は、法師が払ってきた足めがけて、十手を打ち込みました。バチン!!!と、火花が飛びます。
「やったか!!??」
そう、油断した瞬間、棍が横っ面から飛んできて新之助は吹っ飛ばされました。
「ざんねーん、私のズボンは特性の寅革のパンツよん♪そんな電撃きかないわん。」
法師は、新之助に向かってお尻をつきだし、
おしりぺんぺんをして、「どう?もういちどやってみる?きちゃう??と挑発しました。

「キモいおかまー。はやくやっつけちゃって!。」
キモいのは少しだめらしい。

法螺法師の棍はとても重い金属の外側を樫で覆って出来ているようで、その打撃力は新之助を5メートルも吹っ飛ばすほどでした。かろうじて十手で受けていたため無傷でしたが、まともに頭にくらうとスイカ割りのように真っ二つになってしまうでしょう。
「護りに入っちゃ、ジリ貧だぜ!。」
新之助は、棍をなんとかかわしながら、十手をどんどん打ち込みました。そのたび、法師は分厚い革で守られた両腕でバチンバチンと受けます。法師の反応も相当なものです。
(あの腕に巻いてある厚い革をなんとかしなきゃな。。。。)
新之助は少ししゃがんで腰に撒いてある袋から、ある飲み物を取り出し、口に含みました。
「なあに?喉でも渇いたの??。大丈夫よ、すぐオネンネさせてあげるから。」
法師はふたたびものすごい速さで、新之助を攻め始めました。その攻撃をなんとか凌ぎながら、十手を打ち込むその直前!
「ぷーーーーっつーーー!!!!」
新之助は口に含んだ飲み物を、法師の両腕めがけて吹き掛け、間髪いれず十手を打ち込みました。すばやい反応で法師はそれを両手の革で受けます。
バチン!!!電流がハジケル音、そして、、、、

「ね、どしたの??。」
声をためている僕に我慢できずに、娘が聞いてきた。


「ぎえぇえええええええ!!!」
っとちょっと変なオカマの悲鳴が響きました。法師はそれを上げたあと、気絶しています。

「えええ??どうしたの??。なんで電気ショックが効いたの??。」
「それはねえ。。。」


新之助が法師の腕の革に吹きかけたのは、ポカリスウィーートというスポーツドリンクでした。人間の体に合わせた電解質が溶けてるっていうアレです。つまり電気をよく通すそれが革と革の間に染み込んだので、電気ショックが法師に届いたのでした。
「やったぜ!!!。エドシティの同心をなめんなよ!!!」
新之助はガッツポーズをすると、法師とのやり取りの間にどこかに消えてしまったネズミン小僧を再び探しはじめました。

「ポカリスウェットのみたくなっちゃった。のどかわいたーー。ねね、コンビニ寄ろ!!」
「もうすぐご飯だから、そんな甘いの飲んじゃだめだよ。」
「えーー、じゃあ、ルイボスティーでいいよ。」
「しかたないなあ。」
しばらく進んで、僕たちはコンビニの前についた。娘に愛犬をまかせて、僕はルイボスティーを買いにコンビニに入ったんだ。

づづく。
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エドシティを騒がすネズミン小僧(1)

2015.07.22 20:05|はじまりの冒険
僕と娘はいっしょに愛犬の散歩に出ていたんだ。

うちの子はトイプードルなんで、小さいのにやたらと運動量が必要で、散歩の時間は最低でも1時間。なもんで、しりとりとか、なぞなぞしながら、てくてく歩くのがお決まりのコースなんだよね。

でも、今日は様子が違ってた。散歩はじまって、彼女の第一声。
「ねーねー、お話しして!!。」
たしかに、散歩の間だと、寝る前よりもたくさんお話できちゃうよね。ふむ、よく気づきましたな、おぬし(笑)。


「あ、うんちしてるよ。」
愛犬のお尻のアナがみるみる大きくなって、プリプリとし始めた。おっと、オトシモノは回収しなきゃね。

僕が、うんちを袋につめる間、娘がちゃんと、愛犬のリードを持ってくれたんだ。「お、助かるなあ。」と思ってたら、
「ねーー、ちゃんと、お散歩手伝ってるんだから、おーーはーーなーーしーー。」
って、2度目の督促(笑)。わかったわかった、ギブアンドテイクってことね(笑)。

「うーん、こないだの話の続きまだ考えてないからなあ。。。」
「じゃあ、今日は、違うお話してよ。」
「そうだねえ、、、、あ、和風テイストとかどう?」
「和風???うーん、、、、」
しばし、娘は考えてたんだけど、「ま、いいや、それで。」って。おお、即断即決(笑)。

ということで、僕の頭は和風テイストのお話をつくるべく回転し始めた。

そのころ、一人の怪盗がエドシティを騒がせていました。私腹を肥やしている役人や、悪徳商人の蔵を破っては、小判をどっさり町のいたるところでバラまいたので、町の人々からは人気がありました。また
『ネズミンからみなさんにプレゼントでチュウ』という犯行声明が書かれた紙が、空からたくさんばらまかれたので、いつしか、「ネズミン小僧」と呼ばれるようになりました。

僕が、『チュウ』ってとこを、タコさんの口の形をして言ったので、
「チュウ??(笑)。いいねーそれ。いただきまちゅー」
って、娘も繰り返した。どうやら、お気に召したようで(笑)。


ネズミン小僧は、いままでどこの蔵をやぶるときも、決して人を傷つけることがありませんでした。それも町の人たちに人気がある理由でした。

「そうか、ネズミン小僧はいい人なんだ。」
「そうそう、義賊ってやつだね。」
「ギゾク?。あ、知ってるこの間、国語の練習問題に載ってたよ。いい盗賊のことをいうんでしょ?」
おお、ずいぶん、難しい問題を解いてるんだなとちょっと僕はびっくりした。


ただ、少し前のことです。大変えらい役人が、殺されるという事件がありました。そしてその役人の蔵が破られ、小判と、いつものように
『ネズミンがみなさんにかわって、成敗したでチュウ。』という犯行声明がばらまかれました。

「ええ!?ひとごろししちゃったの?。わるい人じゃないか!!。」
「そうだねえ、ひとごろしは悪いことだねえ。」
「うんうん、絶対よくない。」
ベタ展開かなとおもったけど、娘の素直な反応に僕は安心した。いいのだ、ベタで。これは娘のための童話なのだから(笑)。


「上役はそういうけどさ、でもね、俺は今回の事件は、あいつがやったとは思えないんだよ。」
馴染みの料理屋で酒を飲んで独りグチを言っている男の人がいました。歳のころはちょうど30、名前は新之助、この町の同心です。今日は非番で、早い時間から飲んでるので、もうお銚子が、3本も空いています。

「お酒のみだねー。グチいうところなんて、まんまパパじゃん。」
娘のつっこみに、僕はニヤッとかえす。


「あらあら、新さん今日はお一人なのに、また随分すすんじゃったねえ。」
店の奥のほうから若女将が出てきました。『おふうさん』と呼ばれるその人は、若くてとても美人で、またテキパキとってもよく働いたので、この料理屋の看板女将でありました。
「おう、おふうさん、聞いとくれよ。」
そう言って、新之助は、女将にお銚子を勧めました。新之助は、あまり人にからまない飲み方をする性質だったので、「おや?」っと女将は思いました。(こりゃ聞いてあげないとねえ)という顔をして、女将はお店の人に、パパッと指示を出すと、
「そうねえ、今日はもう、だいたい一段落ついたから、つきあってあげるよ。」
と、新之助が勧めてきたお酒をお猪口ではなく、なんと、お碗で受けました。そして、なみなみと注がれたお酒を、「プファー」といって、一気に飲み干しました。こういうキップのいいところも、この店と若女将の人気の秘密のようです。

「うわー、お酒つよいねー。パパよりつよいんじゃないの??。まんま、ママじゃん(笑)。」
「しぃーーー、そんなこと、ママの前で言ったら、怒られるよ(笑)。」
「うんうん、こんなこと言ったのヒミツにしてよねえ(笑)。」


「おおう、さすがだねえ、おふうさん。」
一瞬あっけにとられた新之助でしたが、女将の粋のいい飲みっぷりに嬉しくなりました。
「で、何があったんだい?。聞かせておくれよ。『あいつじゃない』みたいなことをさっきからずっと言ってるけど。」
「おう、ネズミン小僧のことなんだがな。。。。」、と新之助は話を始めました。

それは、今から6年前、ちょうどネズミン小僧がエドシティを騒がし始めて、数年経ったころのことです。そのころ、新之助は同心になって3年、そろそろ、大きな手柄が欲しいころでした。となると、自然と注目される怪盗に熱心になるのは仕方のないことで。

月のない、まあ、盗みにはなかなかよさげな晩でした。ネズミン小僧を追いかけ始めて何度もその現場にかけつけるたび、新之助は、『今日は出やがる』となんとなく勘で判るようになっていました。そして、そういう勘がするときは、ぷらぷらと市中を歩くことにしていました。『よ、元気かい?』と、市中のみなに声をかけ、耳だけは遠くの音を拾えるように、シンと静かに冷やしておりました。「御用だ!御用だ!」その掛け声を聞いて、どこでも駆けつけられるようにするためです。

いろんな大名の武家屋敷が並んだ通りを歩いてたとき、その予感があたりました。その通りは、幅8メートルくらいで、両側にとても大きな武家屋敷がいくつも軒を連ねていて、新之助が歩いている前方200メートル先で右に曲がっていました。そして、その角のほうから「御用だ!御用だ!」という、例の声が聞こえてきたのです。

「出やがった!」、新之助は立ち止まって、両目を閉じさらに耳を澄ませました。実は新之助、昔から耳がよく、またその音を頼りに頭の中で鳥瞰図が描ける、つまり自分の斜め上のほうから周りを見るような感覚を得ることができる、そんな特技がありました。

「あれ?それって超能力じゃない?」
「ん?そうかもねえ(笑)。」
「どんどん、つづけてつづけて。」


「居やがった!!。」
新之助は、武家屋敷の屋根の上を移動する何者かを感じとりました。その何者かは、すごいスピードでやってきて、音もたてずに止まりました。頭上15メートル、後方4時の方角、ちょうど右手の武家屋敷の屋根の上です。
「あらよっと。」
新之助は幼いころよりエドシティに住んでいて、火消の棟梁に屋根の上り方や、その上での移動方法を習っていました。まるで猿のようにするすると屋根に上ると、(あそこだな。)と、先ほどの何者かが立ち止まった位置を確認して、それより10メートルほど離れたところで息を潜めました。

その何者かはスッっと立ち上がると、通りのほうを見ていました。背がすらりとしていてとても細く、ネコ科の動物のような印象を受けます。
(ありゃあ、、ネズミというより、まるで猫、、、、、いや、豹だ)
それが新之助がネズミン小僧を初めて見たときの印象でした。

下の通りでは、御用聞き達が『御用だ御用だ!』とそこらじゅう走り回っています。それを見ていたネズミン小僧は、懐からスッとなにか取り出しました。それは竹とんぼに似ていましたが、ゼンマイや歯車などがたくさん付いていました。ネズミン小僧は、その風変わりな竹とんぼに、くす玉のようなものを2個つけて、羽をふっと回しました。するとブーンと蠅の羽音のような音がして、竹とんぼはふわりと浮かびあがりました。飛んでいかずとどまっているのは、竹とんぼから伸びている透明な糸をネズミン小僧がキュッと握っているためです。

ネズミン小僧は、新之助が歩いてきた方角へ竹とんぼを向けると、パッと糸を離しました。すると、すーっと竹とんぼは音も無く飛んでいき、100メートルくらいいったところで、1個目のクス玉を落としました。

「わかった、バクダンおとすんでしょ!?」
「さあ、どうかなあ。」


クス玉はひゅーんと落ちていきましたが、途中でパカッと割れて、中から非常に割れやすく音がしやすいもの、風鈴とか薄いお皿がたくさん出てきました。ガラガラガッシャーンと、それらが地面に当たる大きな音が、新之助にも聞こえてきました。少し経って2個目のクス玉の音も聞こえてきました。
「あっちだ!!!。」
御用聞きたちは、まんまとひっかかり、『御用だ!!御用だ!!』と、掛け声をあげながら、みんな行ってしまいました。

「御用だ!御用だ!じゃねえ!!どこいってんだよ(苦笑)。」、新之助は御用聞きたちを少し呆れて見送りました。運のいいことにネズミン小僧は新之助に気づいてないようで、彼に背を向けて立っています。新之助は、ここぞとばかりにネズミン小僧に突進しました。
「神妙にお縄につけい!このネズミやろお!!」
一気に距離をつめ、ネズミン小僧の肩に背後から手をかけた刹那、ふわりと自分の体が浮いているのを新之助は感じました。ひらりとかわされて、突き出した腕を持たれ、そのまま投げられたのです。
「うわぁああああ!!!」
新之助は勢い余って屋根の端まで転がっていき、落ちそうになりました。が、落ちる瞬間に身を返して、梁の部分につかまりました。さすが猿の動きです。

「おさるさんだねえ(笑)」
おさるっていう言葉どうも、ツボにはまったみたい。


「・・・・」
ネズミン小僧は、何も言わずに新之助のほうを伺っていましたが、やがて竹とんぼと違う方向に音もなく駆け出しました。ものすごいスピードです。新之助は梁にぶら下がっていましたが、
「こなくそ!」
っと勢いをつけて屋根に上がると、ネズミン小僧を再び追いかけ始めました。ネズミン小僧が駆ける音は普通の人にはまったく聞こえないのですが、彼の耳はかすかに捕らえていました。

「ねね、もしかして、ネズミン小僧って、新之助が屋根から落ちるのを心配しててみてたの??」
「お、いいところに気がついたね。」
「わかった、新之助がネズミン小僧をかばうのって、それが理由なんでしょ!!」
「さあて、どうでしょ(笑)。」
僕と娘と愛犬は、水辺公園に差し掛かった。ここは丁度、散歩コースの真ん中なんだよね。
愛犬に水をあげて少し休憩を取ったあと、
「ねーねーつづきは???」
「えっとね。。。」
ぼくは、そういって後半のお話しをし始めた。


づづく。






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彼の名はホワイト

2015.07.17 01:59|はじまりの冒険
こないだの一件以来、娘は「ねーねーつぎいつ、お話しつくるの??」って、かなり気に入ってくれたようで(笑)。
で、今、例のごとく娘の寝付かせ真っ最中なんだけど、時計はまだ8時半。うん、いいペースだ。

「ねーねー、今日は急いでお風呂も入ったし、お話、いいでしょ??」
「そうだねえ、早めにお布団に入れたらって約束だもんね。」
「やったあー、パパ大好き!!」
ウシシ、そのセリフを言ってもらうのが狙いなんだ(笑)。

「こないだは、どこまでお話したっけ?」
「えっとね、ドリフで、赤いパンツがおちてきたところ。」
我ながら、ベタなネタである。

「よぉっし!。じゃあ、目をとじなさーい。」
「はぁーい。」
娘はニコニコしながら目を閉じた。


「まだ勇者どのは目を覚まさぬのか?」
「Yeees!マイロード、一向に目をさまされぬ。打ちどころがわるかったようでございます。」
王の間でダリウス王は、発明家兼宮廷魔術師ドクに、その後の青年の様子を聞いておりました。タライがぶつかって、彼が卒倒してから、かれこれ1週間が経とうとしています。
「このままでは、奴らの攻撃でふたたび被害がでてしまう。一刻もはやく、彼をおこしてくれい。」
「Yeees!マイロード、いろんな医者に見せてるのですが、なかなか起し方がわかりませぬ。ただ、、、」
と、言いながら、ドクは、原稿用紙1ページ分くらいの文字がびっしりと書き込まれカードをだしてきました。
「これが彼の荷物から見つかったでございます。」
「ん?なにか文字が書いてあるの。どれどれ。。。『こんにちわ、ぼく、勇者ホワイト、よろしくね。すきなものは、、、』」
どうやらそれは、セルフイントロダクション(自己紹介)カードのようです。
「しかし、すごいびっしり書かれてあるのお。」
「Yeees!マイロード、このカードでわかったことは、、」
彼が勇者であること、名前がホワイトであること、少し女の子とお話するのが苦手なシャイな青年であること、でも、彼女はちょっとほしいと思っていることが判りました。得意なのは幅跳び、そして苦手なものは、魔法を使うこととゴキブリ。とくにゴキブリはみるだけでも凍ってしまうようです。

「ゴキブリ苦手って、まんまパパじゃん!!」
「はいはい、目をつぶってねー。」
「はぁーい。」
娘はすなおに目をつむった。よしよしいい子だ。

「幅跳びが得意なのか。どおりで、50メートル離れたトイレまでひとっとびで跳んだわけだ。」
「もはや幅跳びという次元ではないですが、ジャンプ力はとんでもないですな。」
「魔法が苦手だと!?体育会系の勇者なのだな。」
「お勉強は少し苦手のようですね。」
というように、二人でそのカードを読みすすめておりました。すると、最後にとても重要なことが書いてありました。


『もし僕が気を失ったら、僕の大好きなもののニオイを嗅がせてください。』

「これじゃああ!!。大好きなものって、なんじゃあ!!??」
急いで前のほうを読み直すと、『ウナギのかば焼き』と書いてありました。

「パパぁ、、、、ウナギって、パパの大好物だよね。今、食べたいから、そういう話にしたのでしょ???」
「あ、ばれた?」
「まったくー、まあ、いいからつづけてつづけて。」

「『うなぎのかば焼き』じゃと。これは、東方の料理か?。」
「そうですね、ザビ砂漠を越えてもーと行った先の、さらに先の海を渡ったニポーンという国の料理です。」
ドクは壁にかけてある世界地図で、ニポーンの場所を指さしました。たしかにとても遠いです。
「ドクよ、おぬしつくれるか?。」
「Noooo! Sir マイロード。あれは、『串打ち3年、裂き8年、焼きは一生』と呼ばれ、大変な修行がいる非常に難しい料理でございまして。はっきりいって、ムリです。」
よっぽど無理だと思ったのか、ドクは手をぶんぶんふって、『絶対むり!!』とジェスチャーも加えてます。

「うんうん、無理だろうねえ。。。。あれは、、、、、とっても難しいって、テレビで、、、、やってたもの。。。。。」
娘は目をつぶりながら、ゆっくりうなずいた。
「で、、、、、うなぎ、、、、、好きなのは、、、、、わかったから、、はやく、、つづき。。。。」
だんだん、声が小さくなっていった。どうやら、ねむったらしい(笑)

時計は、、、、ちょうど9時だ。
僕がそーっと、ベッドから抜け出そうとしていると、寝室のドアがガチャリと開いて、ヨメサマが入ってきた。

「あら、最近ちょうしいいじゃない、9時前に、にいちゃんが寝るなんて。いい仕事してるわね。」
「ん?そう?。じゃあ、来月から小遣いUPしてほしいなあ。」
「そうね、前向きに検討しておくわ。」
嫁はルーチン的な相槌をうった。

『前向きに検討』で、ほんとに検討されたことないんだよね。。。ま、いっか^^;





づづく。

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